相続人は誰?

相続において最も基本かつ重要ポイントである「相続人は誰になるのか?」について解説します。

法定相続人の範囲

 日本の民法では、ある人が亡くなった時に「法定相続人」と呼ばれる一定の範囲の人が被相続人の遺産を相続する権利を与えられています。

 ※被相続人・・死亡した人。その人名義の財産が相続の対象になる。

 基本的なルールとしてはこのようになります。

  • 配偶者はいわば「特別枠」
    配偶者がいれば必ず配偶者は相続人となります。

    ただし、被相続人より先に死亡していた配偶者、もしくはすでに離婚していた配偶者は相続人となりません。

     

    たとえ入籍後1日であっても法律婚をしていれば相続人になります。

     

  • 第一順位は「子」
     配偶者以外の親族には順位がつけられており、最も優先順位が高いのは「子供」です。

     

  • 第二順位は「直系尊属」

     直系尊属というのは、「親、祖父母」のことです。

     子供がいない場合は親の両方、もしくはどちらか一方が存命であればその人が相続人となります。

     また、親が両方亡くなっている場合で、祖父母が存命であれば祖父母が相続人になります。

     

  • 第三順位は「兄弟姉妹」
    子、直系尊属いずれもいない場合には最後の順位として「兄弟姉妹」が相続人になります。

問題になりやすいケース

前婚と後婚、両方に子供がいる

 離婚した配偶者は相続人になりませんが、前婚と後婚の子供は同じ立場で相続人になります。

非嫡出子(ひちゃくしゅつし)がいる

 非嫡出子とは、「婚外で生まれた子供」のことです。

 以前の民法では非嫡出子は嫡出子(婚姻関係にある夫婦に生まれた子供)の2分の1の相続分しかありませんでした。

 しかし、両者を区別(差別)すること自体が憲法違反であるとの2013年の最高裁判決を経て、
現在では嫡出子と非嫡出子が平等の相続分になっています。

相続人がすでに死亡している

 高齢化が進んだ現代では、子供より親が長生きするケースも決して珍しくありませんが、親の死亡時にすでに子供が死亡していればその子供が相続人となります(代襲相続)。

なお、子供の子供もすでに死亡していればその子供(つまりひ孫)が相続人となります(再代襲)。

法定相続人が誰もいない場合

 近年、生涯を通じて未婚、または子供がいない夫婦というのも珍しくなくなり、第1順位から第3順位までの相続人が全くいないケースも増えています。

 すべての順位の相続人がいない、というのは「元々存在しない」場合はもちろんですが、相続人全員が「相続放棄」をした場合なども含まれます(負債が多いケース等ではありえます)。

 「相続人不存在」という状態になると、それより遠い親戚(従兄弟など)が相続人になるわけではなく、少々特殊な処理方法となります。

 もし、被相続人と特別な関係にあった人が家庭裁判所により「特別縁故者」として認められれば財産を分与されることもあります。

また、それによっても分与されなかった相続財産については最終的に「国庫に帰属」することになります。
つまり、国の物になってしまうのです。

相続人を間違えると取り返しがつかないことも

 相続手続のスタートラインは「相続人を正確に特定すること」です。

ここを間違えてしまうと、いったんまとまった遺産分割協議をやり直さなければならなくなる事態になる場合もありえます。

 もともと相続人同士の関係が良くなかった場合にはようやく遺産分割協議書に実印を押してもらえた、ということもあるはずです。

 それを、相続人の見落としがあってやり直さなければならないとなると、余計に話がこじれてもう二度と押印してくれない人が出てきて、調停などに持ち込まなければならなくなることもあります。

 そのような意味で最初の相続人特定作業は「相続のキモ」と言える部分であり、特に再婚や養子関係がある、数次相続(相続人もまた死亡して次の相続が発生している)や代襲相続が起こっている家庭では慎重に判断する必要があります。

正しく相続人を特定するためには

最も確実なのは「法律家に相続人特定のための戸籍を揃えてもらう」ことです。

 相続が発生した場合、銀行、不動産の名義変更、保険、自動車などあらゆる手続きで「相続人を正確に特定すること」を要求されます。

 そのためには被相続人(亡くなった人)の最後の戸籍から遡って除籍謄本や改製原戸籍など、かなり多くの書類を揃えなくてはならず、前提知識を持たない人にとっては非常に骨が折れる作業です。

 司法書士は依頼を受ければ「相続人特定のための戸籍収集作業」を職権で行うことができます。

相続手続きで一番大切な最初の段階で躓かないためにもぜひご相談ください。

お困りごとは何ですか?

調べたい、知りたい項目をクリックしてください!解説ページに移動します。

相続・遺言など(名義変更の登記や各種手続)

相続手続はどうすればよいのだろうか、遺言の書き方を知りたい、子供に生前贈与したい、親が認知症なので後見人をつけるべきだろうか・・・など

このような相続・遺言・生前贈与・成年後見のお悩みについては詳しい専門サイトを用意しておりますので下記のバナーをクリックしてください!↓

住宅購入・売却・ローンなど(不動産登記)

 住宅を購入した際に「家が自分の物である」ことを証明するために重要な所有権移転登記。
 そして、銀行ローンを組んだ時に必ず必要になる抵当権の設定や、ローン完済の時に忘れずにしておきたい抵当権抹消の登記。

 これらのものは、手続の際に専門的な登記の知識が必要になるため、法書士が手続を代理して行うことが一般的です。

ごあいさつ

司法書士より皆様へ

 熊本の皆様、こんにちは!当事務所のサイトをご訪問いただき、ありがとうございます。皆様にとって司法書士事務所がもっと身近な相談先になるよう、温かい雰囲気づくりを心がけています。

ご相談予約はこちらです↓
096-345-3880

監修サイトのご紹介

当事務所副代表、西岡容子が一部監修するサイトです。説明文などを寄稿しています。